今月の言葉

いい仕事してますね~

2006年04月01日コメントをどうぞ

kotoba_1804

平成18年4月1日 「いい仕事してますね~」

中国電力主催による電気記念日の文化講演会で「目利きの人生談義」と題して、「いい~仕事してますね~」で有名な古美術鑑定家でエッセイスト、中島誠之助さんの講演を聞きました。

日本に電気が始めてともったのは今から128年前の明治11年。鳥取県に始めて電気がともったのはその39年後の明治40年の事だそうです。以来、何気なく使ってはいますが、電気のありがたさを考えさせられる良い機会ともなりました。

古美術鑑定家である中島さんは古美術品の事を、「電気のない時代に、自然の光で見て美しく見えるようにつくられており、電気記念日の講演で申し訳ないが、明るい電気の光で見るとアラが目に付き美しく見えないんですよ」。「日本人は、ふすまから差し込む太陽や月の光などを通して、古美術品に親しみ情緒を楽しんで来ました」。と言われました。茶室が狭くて薄暗いのは、自然の光の中で茶道具を楽しむ為だと知り、なるほどと思いました。そして、古美術品には使いにくい物が多く、利休の作った茶杓などは、ふしがありとても使いにくいのだそうです。使いにくいから、そこに作法が生まれ文化が生じる。なるほど今の私たちは、便利で使いやすい物ばかり使うので、作法がなくなり文化が薄れ、行儀も悪くなるわけです。

日本の文化はとくに紙と木の文化で、色々な物に気持ちを込めて、とても大切にしてきた事を話され、柿の木一つ取っても「木守り」と言って、来年もまた沢山なっておくれよという気持ちを込めて柿の木に柿を一つだけ残してきた。そんな味わい深く心優しい文化だったとのべられました。それに比べると確かに、今は使い捨て、使いきりの味気ない文化です。

そして、「人間、感動も大事ですよね~」と、感動の上に知識が加わると「美」につながり感動がある。逆に知識が先に入る場合は人間「欲」に走るとわれました。たとえば、お寿司を食べた時に、「うまい」と感じ、その次にこのネタは・・・となるのと、ネタの知識が先走った時のお寿司の味は、感動がないでしょうと言われ、これもまた面白くなるほどと思いました。

最後に、「よく、イザと言うときの為に・・と言う人が多いが、人間いつも、今がイザと言う時です」と締めくくられ、すばらしい講演でした。桜咲くこの頃、日本の文化、考えて見たいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です