*行年94歳のお婆ちゃんの満中陰忌の法事をお勤めした。大正・・昭和・平成と大変な時代を生き抜かれ農家を守って来られた方だった。
法事の後席で、施主を務めた息子さんが「振り返るに、近年看護をするようになってから気づいたんですけど、私は母の顔を見て話をあまりした事がなかったような気がします」といわれるのを聞きながら、そんなものかもしれないなぁと思った。
同じく法事の後席で隣に座られたご年配の男性が、「おしょ~さん。おしょ~さんは法要中に歩かれるときに、畳のふちを踏まれませんでしたな~。意識しとられたですかな」と尋ねられた。
「え、よく見ておられましたですね。実はそうなんです。意識しています。小僧の時に行儀作法として畳のふちを踏むなと教わりました。その時は知らなかったんですけど、後になって、戦国時代は床に忍者が忍んでいて、畳のふちのところから刀を突き上げて命を奪おうとした。ということが元で、畳のふちの上にいたら命が危ないので畳のふちを踏まないという行儀作法が生まれたんだそうですね」と返事をさせていただき、しばらくその話で盛り上がった。