平成16年8月1日「ウランボン」
『お盆』とはインドの古い言葉『ウランボン』を音写したもので、『ウランボン』が『盂蘭盆』となり略して『お盆』となりました。『ウランボン』とは、自分の都合しか考えない勝手な行動ばかりしていると、やがて「逆さまに吊り下げられたような大変な苦しみを受けることになりますよ」という戒めの言葉です。
今年の夏は異常な暑さですが、この異常気象を考えてみるに、私達人間の自分の都合しか考えない勝手な行動も原因の一つと言えると思います。まさに『ウランボン』といえます。
牛乳は毎日多くの人に飲まれていますが、乳牛はたくさんの乳を出すために、常におなかに子牛を宿っている状態にさせられているのだそうです。その為に多量のカルシウム摂取が必要となり、本来草食動物であるはずの牛に、カルシウム不足を補う為肉骨粉を与えるようになり、それが狂牛病を引き起こしました。鶏にしても哀れなもので、狭いところに押し込められ明かりをつけて無理やり卵を産み続けさせられています。狂牛病も鳥インフルエンザも鯉ヘルペスも私達人間が都合のいいように自然や動物までを巻き込んだ結果、こんどは牛や鯉や鶏たちが、一斉に人間に復習を始めたのではないかとも思ってしまいます。
『お盆』はただお墓に参るだけではなく、命を繋いでくださった御先祖様に感謝し、自らの行動を反省し、逆さまに吊るされたような苦しみを受ける『ウランボン』> にならないように、皆がお互いの立場や役割を尊重して、仲良く生きる生き方を考える大切なときです。
先人は、気持ちを込めて具体的に行動する為に御先祖様を迎えたり送ったり、いろいろな舞台設定をこしらえて『お盆』行事としてきました。お盆の13日には、迎え火を焚き、家に飾った精霊棚にご先祖さまをお迎えし思い出話しに花を咲かせます。
迎える時は、早く帰ってきてほしいので、馬に見たてたキュウリに乗って帰っていただき、15日に送るときは、送り火を焚き、牛に見たてたナスにのってゆっくり帰っていただきます。ということは、お盆の間、お墓は留守になるわけです。お盆にお墓に参るのは、留守のお墓は、私達が、あかりを燈して、お掃除もして守りますから安心して、家に、いてください。つまり留守番をする為に、お墓に参るのです。
留守番をしながら、社会の中、家庭の中『ウランボン』にならない生き方考えま しょう。