今月の言葉

シロアリのお陰

2006年05月01日コメントをどうぞ

kotoba_1805

平成18年5月1日 「シロアリのお陰」

お寺の本堂のシロアリ防除工事をしてもらいました。狭い床下にもぐり大変な作業でした。

地球上にはわれわれ人間を含め沢山の生物が生きていますが、数の一番多いのはシロアリで、その数で言えば地球上の生き物の90%を占めるそうです。シロアリは人間にとってやっかいな害虫ですが、私達人間はシロアリに大変大きな恩恵をこうむっています。

森林の木は、だいたい200年から250年周期で倒れて腐り、木が生まれ変わっていきます。倒れた木が腐る原因はシロアリです。木の元の一番硬いセルローズをシロアリが食べ、シロアリの中の20数種類のバクテリアがセルローズを分解する事によって木が腐り土になり、その土でまた新しい木が育ち、その木が二酸化炭素を吸って酸素を出します。という事はシロアリのお陰で酸素が出来て、私達人間は生きていけるというわけです。森林の木だけならいいですが、人間の住んでいる家まで分解してしまうので目の敵になってしまいますが、シロアリのお陰で酸素が出来て私達は生きていけるのですから、目の敵どころが、逆に感謝をしなくてはなりません。

「柳の下にドジョウ」これは、柳の木の下には必ず魚がいると言う意味ですが、柳の木の下には、落ち葉が落ち、それが栄養分となり、それによってプランクトンが育ち、それを食べに魚がよって来るというわけです。シロアリと同じようにこういう命の連鎖が地球の環境をつくっています。

お寺や各家庭にも御本尊「マンダラ」が奉られています。「マンダラ」とは集まるという意味で、世の中、すべての物が持ちつ持たれつ、助け合いながら共存共栄しながら、つながっているという事を表します。柳の木と魚。シロアリと私達人間の関係も「マンダラ」です。

もともと地球上には害虫というのは存在しません。害虫とは人間が決めた事です。しかし、考えてみれば地球上で人間が一番害虫なのかもしれません。様々な命の連鎖の御縁によって生かされている事を自覚し、害虫にならないよう気を付けたいものです。

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