平成18年7月1日 「ソロバン」
買い物に行ったあるお店で、最近あまり目にしなくなったソロバンを使う人を見ました。今は塾と云えば受験対策の学習塾ですが、昔は塾と言えばソロバン塾で、ソロバンは生活の中の必需品でした。しかし、今は学校でもソロバンを使う事はなく電卓を使って計算するそうで、ソロバンの存在すら知らない子供もいるようです。
なんか、妙に懐かしくなり、久しぶりに押入れの奥に眠っていたソロバンを引っ張り出してみて弾いてみました。
ソロバンの玉を下から一つ二つ三つ四つと数えて上げていくと、今度は上にある五の玉を下に下ろして五つとなり、それと同時に今まで数えた四つの玉は全部下に戻されてゼロとなります。当たり前の事ですが、妙に面白く感じられました。上の五の玉があるが、それは下から積み上げてきた四つの玉があるからこそ五として存在している。しかも、その時四つの玉は下に下ろされて、その存在は消えてしまっています。そんなソロバンを見ながら、下から積み上げた一つ一つの玉は、御先祖さまの力や、さらには多く自然の恵みや、多くの人達の影の力に思えてきました。
「お金で買えないものはない」とか、「お金を儲けて何が悪い」などと言う、お金の亡者と化している人の多い世の中、私達は様々なお陰の上に存在している事をわきまえて、人間のあり方、この尊い命の事、ソロバン抜きで考えてみたいものです。