平成18年8月1日
ある若い方から、「お盆って、毎日お墓参りに行きますけど、御先祖様はお家に帰っておられるんですから、お墓は留守じゃないんですか?」と尋ねられました。
確かにそういう状況設定のもとにお盆は成り立っていますから、お墓は留守になるわけです。先人は、留守のお墓は私達が火を燈して、掃除をしてちゃんと守りますから、安心してお家に帰っていて下さい。つまり留守番の気持ちをこめてお墓参りをしてきました。
お盆とは、インドの古い言葉「ウランボン」を音写したもので、「ウランボン」が盂蘭盆となり、略して「お盆」となりました。「ウランボン」とは、自分勝手な振る舞いは、やがて自分に帰ってきて大変な苦しみを受けますよという戒めの言葉です。
釈尊の弟子、目連尊者が、自分勝手な自己中心的な行いにより、餓鬼道に落ちて大変な苦しみを受けている母を救うために、釈尊の教えに従い、出家者の修行(雨安居)の終る7月15日に多くの修行僧に、教えを聞き、沢山の施しをする事によって母を救ったというのがお盆の由来ですこのことが、仏教と共に日本に伝わり、日本古来の風習とが混ざり合って、今日のお盆行事になりました。(地方により、農作業などの為、旧の8月15日)
ただ、先祖供養として、お墓に参るだけがお盆ではありません。命を繋いで頂いたご先祖に感謝し、どうすれば自分勝手な考えを抑えて、正しく生きられるか。つまり、ウランボンにならない生き方を考えるとき、それが本当のお盆です。
先人は、気持ちを込めて具体的に行動する為に、御先祖様を、迎えたり、送ったり、いろいろな舞台設定をこしらえて、お盆行事としてきました。
お盆の13日には、迎え火を焚き、家に飾った精霊棚にご先祖さまをお迎えします。迎える時は、早く帰ってきてほしいので、馬に見たてたキュウリに乗って帰っていただき、15日に送るときは、送り火を焚き、牛に見たてたナスにのってゆっくり帰っていただきます。お墓は、大切な永遠の住まいです。お盆や彼岸だけでなく、常日頃から、きれいにしておきたいものです。