平成16年9月1日
「あなたは今ぬるま湯につかっていませんか」こんな見出しのパンフレットを手にしました。何だろうと思い開いてみると、簡単なクイズが載っていました。熱い湯の中にカエルを入れるとどうなるでしょう? 答えは「熱くてすぐに飛び出す」でした。 では、今度はぬるま湯にカエルを入れて徐々に熱していくとどうなるでしょう? 答えは「ゆで上がって死んでしまう」でした。熱いお湯だと、すぐに飛び出すけれどぬるま湯だと心地よくていつまでも浸かってしまい、段々と温度が上がっているのにそれに気付くのが遅れてお湯から飛び出すタイミングを失い、ついにゆで上がって死んでしまったというわけです。
この話、まぬけなカエルと果たして笑えるでしょうか。このまぬけなカエルなにか今の私達の姿にダブっているようでドキッとしました。
そこそこに安息な日々を送っていると、楽なほうへ楽なほうへ気持ちが傾いて、気付いたときには大変なことになってしまう。今の私達人間も人事ではないと思います。
カエルがゆであがった原因は「気付かない」ということにあります。
私達が救われていく道は「気付くこと」それも「気付かない愚かな人間であることに気付くこと」ではないでしょうか。
秋分の日は、昼と夜との長さが同じで、どちらにも片寄らない日です。この事を、シャカの「片寄らない考えをしよう」という[中道思想]に重ね、しかもこの時期は、気候が爽やかで、人間の頭が一番冴える時期だそうです。このすばらしい時に、中日をはさんで、前後3日間、全部で1週間。片寄った物の見方をしないよう心がけ、今の自分の姿に「気付き」どうすれば、いきいきと生きられるかを考え実行しようとしたのが、お彼岸です。
さわやかな秋の風の中、「ぬるま湯に気付かない愚かな人間」とならぬよう、昔は御馳走だったおはぎでも食べながら、ちょっと、考えてみたいものです。
今、このホームページ開いたあなた。きっと「熱くてすぐに飛び出す」人だと思います。