*『輪廻]などの作品で有名な画家のニシオトミジさんが旅立たれ、イナバセレモニさんのホールでお葬儀をお勤めさせて頂いた。
ニシオトミジ先生との出会いは、先生の自宅とアトリエの中間に学成寺があり、毎日自転車で通われていた先生が、私が書く『山門掲示板』を見て、ひょこっとお寺に入って来て下さったのがきっかけだった。
先生が「ここのお寺はなに宗ですかな」と尋ねられた時に、私が「皆の宗、臨機応変派なんです」と答えたところ、「ほ~、それは面白いですな~」といわれ、それをきっかけに度々お寺に寄ってくださるようになった。
学成寺を題材にした絵も沢山描いてくださり、いろんな話しをさせて頂いた。
去年の12月の中ごろのお天気の良い小春日和の日だった。玄関のチャイムがなり出てみると、娘さんに連れられた先生が立っておられた。「天気がいいですから、ちょっと散歩のついでに寄らせていただきましたわ」と歩行機を頼りに歩いて来られた先生の姿がそこにあった。上がって頂き、体調を気遣いながら「先生、お抹茶は大丈夫ですか」と聞くと、「頂いて見ましょうかな~」と言われるので、うちの奥さんがたてたお抹茶を飲んで、「あ~美味しいですな~」と言われ、笑顔でゆっくりとかみ締めるようにしばしお話をさせて頂いた。今思うと、お別れに来られたんだなぁとしみじみ思う。
折々のお姿を思い起こしながら、お勤めさせて頂いた。83歳の旅立ちだった。