今月の言葉

ブラインドウオーク

2010年06月01日コメントをどうぞ

kotoba_2206

平成22年6月 「ブラインドウオーク」

あるセミナーで、信頼関係を学ぶエクササイズ「ブラインドウオーク」を体験しました。

「ブラインドウオーク」は、2人がひと組となり、まずどちらかが目をつぶり、目をあけている方の肩に手を掛け先導してもらい歩く。3分ほど歩いた後、肩に掛けていた手を外し、今度は声だけで先導してもらい3分ほど歩く。次には2人が立場を替えて同じ事を繰り返す。というもので肩に手を掛けている時はまだしも、手を離すとお互いが不安になり緊張感が漂う歩行となりました。

先導する者は、相手の気持ちを知ろうとする努力がひつようで、自分本位な指示になると相手を不安にさせてしまいます。

自分の現在位置の情報を分かりやすく伝え、現状をこの先の目標に結び付けて伝えていくと安心感が生まれスムーズな歩行にも繋がります。

さらに、障害物が無く何も問題がない時にこそ意識的にコミュニケーションを図っていくのが、「ブラインドウオーク」をスムーズに行うコツという事でした。

さらに、情報を伝達する場合、人間には学習能力があるので、過去の固定観念にとらわれるのは危険な事となり、今の相手の状況に合わせて伝達の方法をバージョンアップしていく事も必要という話を聞きながら、これらの事は信頼関係の構築だけでなく、それ以前の人間関係や親子関係にも参考となる話だと思いました。

目を開けているにも関わらず、見えていないものがあるなぁと感じる貴重な「ブラインドウオーク」体験でした。

「ほめるはアクセル。叱るはブレーキ。ほめるのが多い方が前に進む」という話もなるほど~と思い勉強になりました。

日々の生活でも、アクセルやブレーキを踏み間違えることなく人間関係や親子関係を構築していきたいものです。

つけっぱなし・・・

2010年05月01日コメントをどうぞ

kotoba_2205

平成22年5月 「つけっぱなし・・・」

エコ生活がとり立たされる中、なかなかやめられない「~ぱなし」が多いようです。我が家を見渡しても、部屋の明かりのつけっぱなし、テレビのつけっぱなし、パソコンのつけっぱなし・・・。

子供の頃、父親が私の後から、つけっぱなしのスイッチを消して歩いていて「つけっぱなしにするな」と怒られていたのを思い出しますが、時はめぐり今は私が逆の立場で同じ事をしていて、「つけっぱなしにしないように」と注意していますが、どうやら、“聞きっぱなし”になっているようです。

新聞によると、シャワーを出しっぱなし、冷蔵庫を10秒以上開けっ放し、ちょっとした外出での冷暖房のつけっぱなし、車のエンジンのかけっぱなし、電気ポットを保温にしっぱなし、なども多いとの事で、これも思い当たる節が沢山あります。

中には、一人暮らしでさみしいからという理由でテレビをつけっぱなしにしたり、真っ暗な家の中を移動するのがいやなので、誰もいない部屋の明かりをつけっぱなしにするとか、意図的なつけっぱなしもあるようで、昨今の生活状況が反映されており、なんとも言えません。

無駄を省くと環境にも家計にもやさしいのは分かっているわけですが、なかなか止められないのが現実です。

ちなみに、パソコンは電源を毎日7時間切ると年間4830円。電気ポットの保温を1日6時間止めると年間2360円。エアコンは1日冷房を1時間短縮すると410円。の節約になるとの事です。

何事も、小さな事の積み重ねが大きく身を結びます。できる事からコツコツと積み重ねたいものです。

この話も、“聞きっぱなし”にならないように願っています。

電気記念日

2010年04月01日コメントをどうぞ

kotoba_2204

平成22年4月 「電気記念日」

中国電力主催の《電気記念日 記念講演会》で、「夢見る力」と題して女優の渡辺えりさんの講演を聞きました。一見豪快そうに見える渡辺えりさんですが、小さい頃はとてもデリケートでひ弱な子供さんだったそうです。

子供の頃、親に、「どうせ死ぬのに、何で生まれてきたの」と何度も聞いたり、人に会っても、「この人もどうせ何時かは死ぬんだなぁ」と思ったりしていたそうですが、高校生の時見たお芝居に感動して号泣し、その時から気持ちが変り、自分がお芝居をする事で人に勇気が与えられたらいいなぁと思い演劇の世界に踏み込みこんで行ったとの事でした。

そして、芝居の役柄に成り切り没頭する事で、気持ちが落ち着き前向きになって、「どうせ死ぬのに何で生まれてきたの」などという疑問は考えても分からない事だと思うようになり、夢に向かって一生懸命努力するようになりました。と明るく話されていました。

最後に、「人を愛する事は、人をかまってあげる事、人を大切にする事、そして怒って上げる事も人を愛する事です。これからも演劇を通じていろんな事を伝えていきたい。夢を見るのも力がいります。自分の努力がいります。決してあきらめないで頑張りましょう」。と締めくくられ、講演は幕を閉じました。

日本に初めて電気が灯ったのは、今からわずか132年前の事だそうです。この電気記念日の機会に改めて電気の無かった時代の事を考えてみたいとも思いました。

渡辺えりさんも、「時代劇に出てくる夜のシーン。あれは明るすぎます。人間夜が長いと想像力が発達するんです。ところが今の時代は・・・・これからが心配です」と憂いを語っておられました。心配事は増えるばかりですが、なんとか「夢見る力」で決してあきらめず前向きに頑張っていきたいのものです。

転がる石になれ

2010年03月01日コメントをどうぞ

kotoba_2203

平成22年3月 「転がる石になれ」

久しぶりに、吉田拓郎さんの「ローリング30(サーテイン)」という曲を聴きました。

これは今年65歳になる拓郎さんが30歳をむかえたときに発表した曲です。

♪ローリング30(サーテイン) 動けない石になるな 転がる石になれ 過ぎ去った過去は断ち切ってしまえ 青春の長さ測るものはない 身体より老けた心などもつな ~~中略~~ 自分のカラを突き破り 愚かな笑顔など見せるな 振り向いた昨日に恥じないように 仰ぎ見る明日に恥じないように ローリング30(サーテイン)夢ふく風になれ ♪

♪なまぬるい日々に流される者よ 俺だけは違う身を切って生きる ~~中略~~ 心の汗も流さずに やさしさなどとお笑いぐささ ついてくる世代に恥じないように 届かない世代に恥じないように ローリング30(サーテイン) 飛び立つ鳥になれ♪

若干30歳の時にこんな素晴らしいメッセージをこめた詩を歌っていたのかと、改めて、しみじみと凄いと思いました。

気候も良くなり、気候のバランスも良くなるこの頃を、釈迦様の教え、「偏らないバランスを考えた生き方は、生き易い生き方の第一歩です」という教えに重ね、昼と夜の長さが同じで偏らないバランスの良い日「中日」をはさんで前後一週間を、心の持ち方、生き方を考える「心の週間」としたのが「お彼岸」です。

穏やかなこの時期に、“いくつになっても動き続け” “身体より老けた心を持たないように” そして “ついてくる世代にも、届かない世代にも恥じない” そんな生き方を考えたいものです。

南無って・・・

2010年02月01日コメントをどうぞ

kotoba_2202

平成22年2月 「南無って・・・」

ある法事の席で、「南無ってどういう意味なんですか、なんで南が無いと書くんですか」と尋ねられました。

朝夕に「南無阿弥陀仏」「南無妙法蓮華経」などと唱えている人は多くいると思いますが、意外と知られていないようです。

「南無」とは、インドの言葉「ナマス」が「ナーモ」となりさらに「ナム」となった言葉で、それに漢字をあてはめ「南無」となりました。ですから南無という漢字自体にはなんの意味もありません。

「南無」と辞書で調べると帰依とか恭敬などの言葉が出てきますが、ますます訳がわからなくなります。

「南無」とは、~に従います。身も心も捧げて信じ従います。という事です。ですから「南無阿弥陀仏」は阿弥陀仏様を信じて従います。南無妙法蓮華経は妙法蓮華経という御釈迦様の説かれた素晴らしい教えを信じて従います。という事になります。

以前、永六輔さんが、「南無とはアイ・ラブ・ユーだ」と言っておられました。信じて従う為には、その相手の事をお互いわかりあい、とことん惚れていなければ、繋がり合えないという事です。なるほどと思います。

この素晴らしい「南無」の言葉を家族や友人、そして世の中のすべての人たちに付ける事が出来ると、人と人との繋がりが潤いのあるものになり、暮らしよい世の中に変ってゆく事でしょう。

「南無」、アイ・ラブ・ユーの気持ちで、人と交わり潤いのある暮らしよい世の中を取り戻したいものです。

目線を上げて 胸をはれ

2010年01月01日コメントをどうぞ

kotoba_2201

平成22年1月 「目線を上げて 胸をはれ」

新年明けましておめでとうございます。平成22年は、『庚』(かのえ)『寅』(とら)歳です。『庚』には物事が更たまる(あらたまる)という意味があり、『寅』は新たに生じるというような意味があります。

昨年の『今年の漢字』には『新』新しいという漢字が選ばれましたが、これはそのまま「物事が更たまり、新たに生じる」という今年にもつながる言葉でもあると思います。

先ごろ観た結成33年を迎えた甲斐バンドのコンサートでリーダーの甲斐よしひろさんが、「最近は下を向き、うつむきたくなるような事ばかり多い世の中です。かといって上を向いて歩けるほど明るい見通しもない。せめて目線を上げて胸をはり頑張っていきたいという思いをこめてニューアルバム『目線をあげろ』をリリースしました。10代の頃からぼちぼちやってきて、若い頃は自分の喜びの為にやってきたが、今こうしてバンドも33年をむかえ自分もそれなりに歳を重ね、これからは人の喜びの為に何が出来るかを考えなきゃいけないと思うようになりました」と語っていました。

素晴らしいメッセージでした。

新しい歳をむかえ、目線を上げて胸をはり前向きに、人の喜びも考えながら毎日を過ごす事が出来れば、世の中も人の心も潤いが増すことでしょう。

何事も新しくなる事は良い事ですが、肝心なのはその後です。

『物事が更たまり、新たに生じる2010年の初春』

平成22年が良い歳になるよう“目線を上げて胸をはり”前向きに頑張りましょう。

おかげさま

2009年12月01日コメントをどうぞ

Kotoba_2112

平成21年12月 「おかげさま」

今年も早いもので師走をむかえました。12月8日は、パールハーバー第二次世界大戦が開戦した日。元ビートルズのジョンレノンが凶弾に倒れた日。そしてお釈迦様が悟りを開かれた日です。

苦行を終えて、村の娘スジャータの差し出したヨーグルトを飲み元気を取り戻されたお釈迦様は、「自分が、一人で生きていると思ったら大間違いだった。すべての物はお互いに関係しあって存在し、縁によって成り立っている」という事を悟られました。

ちょっと考えてみると、何気なく吸っている空気や水も、食べ物も、みんな自分の物ではありません。けれども、それによって私達は生きていけるわけです。

さも当たり前のように思い、見過ごしている事も、自分の物ではない沢山のお陰によって世の中は成り立っています。そして、持ちつ持たれつ、いろんなお陰により私達は生きていける。という事です。

お釈迦さまが、悟られたという素晴らしい日に、戦争を起こしたり、人に凶弾を向けたり、つくづく人間の愚かさを考えさせられます。

神さま 仏さま ご先祖さま 見えないさまを “お陰さま”と言います。

何はともあれ、今年一年の沢山の“お陰さま”に感謝し元気に新しい年をむかえましょう。

あやまちすな、こころして・・・

2009年11月01日1件のコメント

kotoba_2111

平成21年11月 「あやまちすな、こころして・・・」

読売新聞の『編集手帳』の欄に、「事故は大抵、もう大丈夫という油断で起きる事が多いから注意しましょう」と書かれていました。

目がくらむほど高い木の上で作業を終えた植木職人が、軒先ほどの高さまで降りてきた時、黙って見ていた親方がにわかに声を上げ、「あやまちすな。心しておりよ」と声をかける話や、長時間の運転中に起きた事故の半数は、目的地から8割以上を走り終えた、目的地に近い所で発生している事をあげ、「あと少し」の気の緩みを指摘し、戒めていました。

さらに、スポーツに目を向け、相撲の土俵際や、野球の9回裏に起きた大逆転劇などを取り上げ、これは「心のスキ」という名の演出家が観客を楽しませたものでしょう。油断は時に、楽しめない逆転劇をも演出する事があるので、くれぐれも、「あやまちすな。心して・・・」と結ばれていました。

最近は、いろんな意味で“平和ぼけ”し、緊張感のない毎日を送っているように思えます。今年もあと2ヶ月、平成21年も8割以上が過ぎました。「あと少し」の気の緩みの無いよう、「あやまちすな。心して・・・」で、元気に過ごしたいものです。

シルバー川柳

2009年10月01日コメントをどうぞ

kotoba_2110

平成21年10月 「シルバー川柳」

全国有料老人ホーム協会が公募していた「シルバー川柳」の入選作品が発表されました。

*定年で 田舎戻れば まだ若手

*マイケルの 真似を発作と 間違われ

*万歩計 つけて帰りに 車呼び

*バラに似て 妻も花散り トゲ残し

*その昔 恐竜見たかと 問う曾孫

*注目を 一身に受け 餅食べる

*妬ましや 妻の犬への 言葉かけ

いずれも負い目を笑い飛ばしつつも、なんとか前向きに頑張ろうという思いが伝わってくる作品の数々です。

誰もが、子供の頃の事を忘れ、自分は歳をとらないように思っていますが「子供叱るな来た道だ 年寄り笑うな行く道だ」が現実です。

お経を読む時、必ず「謹み敬って・・・」という言葉から始まります。お互いが敬い合って、上手に歳を重ねていきたいものです。

私も自分の事を振り返り一句

忘れ物 忘れた事さえ 忘れてる

ボルト選手

2009年09月01日コメントをどうぞ

Kotoba_2109

平成21年9月 「ボルト選手」

ベルリンで行われた「世界陸上」で、100メートルと200メートルを世界新記録で優勝を飾ったボルト選手の活躍には感動しました。

ボルト選手は、普通の選手であれば緊張するであろうスタート前に、リラックスし、おどけたような仕草で笑顔を振りまいていました。そんな姿を見たある解説者が「あのくらいゆるんでいないと記録は出せません」と言っているのを見てなるほどと思いました。

人間は緊張すると筋肉が固まり良い動きが出来ないそうです。それがスタート前に笑顔を見せ、時にはふざけたりする事によってリラックスし、筋肉がゆるみ自分の持っている力が存分に出せるとの事でした。

レース後の「自分自身を制限せず、努力を続ければなんでも可能だと信じている」というボルト選手の話も素晴らしく印象に残りました。

これは、普段の生活にも応用できる話だと思いました。緊張を解いて、リラックスし体も心も柔らかくほぐれていると、物事が良い方向へ向かう事でしょう。反対に緊張し固まっていると思うにならない事が多くなると思います。

お経にも、「質直にして、意(こころ)柔軟に一心に仏を見たてまつらんと欲して・・・」とあり、「心柔らかく素直な気持ちになれば、今まで見えなかった、いろんなものが見えてきますよ」と書かれています。

9月はお彼岸の月ですが、お彼岸は心や体のバランスを考える時です。自然界も人間界もバランスが崩れてしまったと思えるような事が多いこの頃。ボルト選手にならって、リラックスし、体も心も柔らかくしてバランスのとれた毎日を送りたいものです。