平成17年9月1日 「一人家族」
ある食堂での事です。つい立で仕切られたとなりの席に親子と思われる2人組が座って食事をしていました。その間、高校生ぐらいと思われる男の子がしゃべっており、いまどき珍しい会話のある親子だなぁと思っていたところ、男の子が手にしていたのは携帯電話でした。なんと食事中話をしていたのは目の前にいる母親ではなくて携帯電話の相手でした。食事代を母親が払って店を出て行きましたが、店を出るまで母親との会話はほとんどありませんでした。
まったく味気ない食事だった事と思います。なんともいえない気分になりました。核家族という事が言われて久しいですが、今や核家族がさらに進み「一人家族」の状況です。
テレビは「一家に一台」の時代は遠い昔の話になり、今や「一人に一台」になり、携帯電話の普及率も80%を超え、若者は道を歩きながらヘッドホンで音楽を聞き、周りの事はまるで目に入らず自分の世界に入っている人をよく見かけます。
世の中が「核家族」から、さらに「一人家族」になって、人と人との繋がりが薄れ、生の声での会話の聞こえにくい家庭や社会になってきています。でも、決して若者や子供が悪いわけではないと思います。今の世の中を造ってきたのは私達大人です。
ある小学校の校長先生が、終戦から60年、自分たちがしてきたような苦労は次の世代には絶対にさせまい。という思いのもとに子供たちに物を与えてきた。それが与えすぎて、今日の我慢のきかない、きれやすい子供たちにしてしまったかもしれない。と言われていました。
よく、人と人との間につながりがあって「人間」と言いますが、人と人とのつながりを取り戻すには、やはり「おはよー」「こんにちは」「ただいまー」「おかえりー」の大きな「声」です。まず大人が積極的に元気な「声」を出し、機械を通しての会話だけでなく生の声でのコミュニケーションとして、「声」の行きかう社会や家庭を取り戻したいものです。
このホームページを開いたあなた。きっと大きな声の出る人だと思います。