平成16年7月1日「蓮の葉」
夏を前に、お寺の境内にたくさんの青々とした「ハスの葉」が開きました。その中に「大賀ハス」というハスの葉も開いています。このハスは、ハスの研究家・大賀一郎博士が昭和31年千葉県にある検見川遺跡の約2000年前とおもわれる地層からハスの実を発掘し、翌年にはそのハスの実が芽吹き数年後にはきれいな花を咲かせ、全世界の人を驚かせたハスの事で、大賀博士の名をとり「大賀ハス」と呼ばれています。2年前にあるお寺さんがらこの大賀ハスの実を頂き、ようやく葉が開くようになりました。すごい生命力です。
ハスというと、泥沼の中から綺麗で清らかな花を咲かせることから、泥沼を世の中にみたてて私たちも、この世の中で、清らかに花を咲かせましょうと譬えられます。しかし、釈迦がお経の名前に「妙法蓮華経」と蓮華・ハスの名前を付けられた理由は、ハスの生命力にあると思います。
2000年もの気の遠くなるような長い間、土の中に埋もれていたハスの実がじっと命をながらえ2000年のも時を経て芽吹き花を咲かせた。すごい生命力・生きる力です。釈迦はこの「生きる力」を私たちに伝えたくて「蓮華の教え」とされたと思います。このハスを見るたびに2000年の命に思いをめぐらします。
釈迦の教えはもともと「生きる為」の教えです。しかしながら生きている時にはなかなか実行出来ないことが多々あります。それで、亡くなった時にもう一度聞かせてあげて今度生まれ変われるとしたら、この教えを忘れずにさらに善い所に生まれて頂きたいということから、亡くなった時に教えを聞かせる、つまりお経を読むようになり葬儀儀礼と仏教が結びつきました。
きれいで活き活きとしたハスを見ていると、すばらしい命の力を感じます。私たちはこの世の中、泥沼かもしれないこの世の中で、とにかく「生きる!」この一言に尽きると思います。私たちもこのすばらしい生命力にあやかって、泥に埋もれることなくかけがえのない「命」を活き活きと生きたいのもです。